My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「ルパンがね、怪盗Gのことをしきりに"がきんちょ"だって言ってたの。盗みの方法も盗品の選別もド素人だって」
「……あいつの言うこと信じるのかよ」
「確かにルパンは口八丁な所あるけど、あの時は真面目に怪盗Gを捜してたみたいだし…多分本音だと思う」
「……」
…確かにそれは、俺も薄々感じていたことだった。
常人より多少腕は立つが、戦闘力はまるでぱっとしない素人。
わざわざ目立つコスプレ姿で、盗品を盗んでもすぐ逃げ出さずに高笑いなんざして。
そんな怪盗Gの言動に、いちいち幼く見えていたのは確かだった。
…外見はどうであれ、中身はガキみたいな奴なのかもしれない。
「だから…気を付けてね。一応、相手が子供でも」
「……お前は余計な心配しなくていいから、さっさと寝ろ」
不安そうに見てくる目をもう一度見返して、小さく息をつく。
相手が例えガキや女であったって、そんなことで油断するつもりはねぇよ。
誰であってもそいつが怪盗Gなら捕まえるだけだ。
「いい加減寝ないと無理矢理意識沈めるぞ」
「寝ますっ」
言えば慌てた顔が俯く。
それでも俺の体に回された腕はそのまま。
…本当にこの恰好のまま寝る気か。
まぁいいけどよ……これくらいなら理性だって保つ。
「…言ったからにはやり通す。イノセンスが関係していなくたって、あいつは捕まえる。お前は何も心配せずに寝て待ってろ」
初めて体を重ねた直後だって、簡単に俺の腕の中で熟睡してただろ。
ガキん時は寒い隙間風だらけの家でだって寝てたんだろ。
ならここでだってぐーすか寝れるだろうが。
ちゃんと寝て体休めとけ。
そこまでは口に出さずに、代わりに腹部に当たるその手の上に俺の手を重ねれば、背中に感じる気配が僅かに動いた。
「…ん」
返事は微かな吐息のような音だけ。
ただ、背中に擦り寄る体と回された腕に微かな力が入る。
それはどこか心地良くも感じる、拘束だった。