My important place【D.Gray-man】
第10章 夢Ⅲ
「──っ」
"それ"をなんと言えば、いいのだろう。
ぞわりと肌が粟立つ。
音も匂いも姿も何も、把握していなかったのに。
一気に背中を走る冷たいもの。
人の第六感とでもいうのか。
背中に感じた冷たい"何か"に、瞬間的に弾かれたように顔は振り返っていた。
「ひ…ッ」
喉奥から漏れたのは、掠れた自分の悲鳴。
いつから其処にいたのか。
暗い病室の窓、全部。
そこを埋め尽くすように。
窓の外から伸びた無数の白い手が、びっしりと張り付いていた。