My important place【D.Gray-man】
第10章 夢Ⅲ.
──今でも憶えておるのかのう? 二人の名は
おぼえてるよ
──今でも大事なのかのう? 二人のことは
だいじだよ
──そ奴らは御主のことを、同じに大事に思っておったのか?
おもってたよ
だって、ちゃんとのこしてくれたから
わたしのおとうさんと、おかあさんだって
わたしは、ふたりのむすめなんだって
そのことばを、わたしに
──では何故、
「御主は黒の教団にいる?」
──エクソシストの血縁者であれば、教団に入ればああなること
──主の父なら知っていたはずだ
…それは…
──本当に御主が大事ならば
──血縁者であることは、隠しておくべきじゃろう?
…ちがう
──本当に御主が大事ならば
──危険な目に合わせまいと、教団には近寄らせまいと
──そう思うのが普通じゃろう?
それは、ちがう
──そ奴らが御主にきちんと自身のことを隠していれば
──主は受けずに済んだのではないか?
──あんな実験
「ちがう…ッ」
おとうさんとおかあさんを
わるくいわないで
ふたりはわるくない
わたしがかってに、えらんだだけだから
わたしが──
「うむ。知っておる」
手が、触れた。
「父と母のことを、しかと知りたかったんじゃろう?」
「…うん」
屈んで目線を合わせてくれる。
額に目玉のような不思議な模様を持った、薄い金髪の青年。
「主はただ真っ直ぐであっただけだ。そんな御主の親だ。ワタシは嫌ってなどおらぬよ」
「……ほんと?」
「ああ」
にっこり笑って頷く。
褐色の腕は、私の幼い体をそっと抱き寄せた。
「寧ろ感謝しておるかのう。お陰で、こうして出会えた」
抱き寄せたまま耳元で囁かれる。
優しい腕と優しい声。
まるで愛おしそうに。
「であえた…?」
「うむ。御主は大事なワタシらの──」
──"家族"じゃからな