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My important place【D.Gray-man】

第9章 黒の教団壊滅事件Ⅲ.



「はぁ…」


 うだうだと一人で考え込んでしまっているのが、なんだか馬鹿らしくなって、溜息混じりに天井に体の向きを直す。

 〝第二使徒〟

 ご丁寧に教えるつもりなんざ全くなかったのに、気付いたらその名が口から出ていた。

 俺のことを知って月城はどうするのか。
 そんなことが知りたかった訳じゃない。
 ただ…こいつが紡いだ言葉は全部、必死に絞り出したもんだということは、阿呆みたいに伝わってきた。

 俺の言葉を馬鹿正直に飲み込んで。
 守ろうとする馬鹿真面目な奴で。
 …嫌気より、呆れが勝っただけなのかもしれない。


「……」


 月城の取り繕う顔と言葉が嫌いだった。
 今でもそういう姿を見れば、苛立って黙らせたくなる。
 けれど最後の晩餐だなんて下らない話して、何処か遠くを見るように誤魔化しながら話すこいつを見ていると…黙らせるよりも気になった。
 こいつがそんな顔をする理由が。


「…わかんねぇ気持ちって、これかよ」


 それでもその思いはどこか朧気だった。

 俺のことを知りたいと、こいつは言った。
 その理由が自分でもわからないとも、こいつは言った。
 あの時は思わず呆れたが、もしかしたら…こういう気持ちだったのかもしれない。


「…?」


 不意にもぞもぞと動く体が見えて、目を向ける。
 視界に映った月城の体は、膝を抱くように体を丸めると、ぎりぎりベッドの端に齧り付くようにして小さくなった。
 ミュンヘンで宿を取った時にも見た、覚えのある寝姿。
 まるで小さなガキが狭いベッドの中で身を寄せて眠るような…こいつの癖だったのか、これは。


「…寝相云々の前に、ベッドから落ちるぞ」


 寝ているのを知っていて声をかける。
 慣れているのか、器用にベッドの端に寄ってすぅすぅと聞こえてくる寝息に、思わず溜息が出た。


「……寝るか」


 こいつのことで答えが出ていないことは幾つかあったが、今はこの状況を打破するのが先だ。
 明日の為に体力を残しておかねぇと。
 そう思いさっさと目を瞑ると、やはり縮んだ体は疲れていたのか。簡単に睡魔がやってきた。

 …もう二度と、科学班の引越しなんざ手伝わねぇからな。















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