My important place【D.Gray-man】
第10章 夢Ⅲ
朝
起きて最初にすることは、花の水遣り
一通り全ての家具や窓を拭いて綺麗にして
前日の食事の皿も、きちんと洗っておく
皆が起きてくる前に、冬場なら暖炉に火を灯して部屋を暖かく
夏場なら換気をして、涼しい風を入れておく
食材は触っては駄目、怒られてしまう
コーヒーやミルク等の飲み物は用意しても大丈夫
昼
一番忙しい時間帯
お風呂場や階段や廊下、各部屋の掃除は欠かせない
納屋の動物達の世話と掃除も絶対
洗濯物を干して、食器を洗って、裁縫なんかも偶にする
買い出しなんかの、お金を扱う仕事は駄目
叩かれてしまう
水を扱う仕事は大丈夫
でも、お湯は絶対に使っては駄目
夜
ゴミ出しをして、納屋の最後の見回りをする
庭の柵の点検もして、ボイラー室の掃除が最後
玄関のランプに明かりを灯して、家に入る
唯一の楽しみは、この時
その日の行いを全て報告すれば、小母さんから貰える
仕事に見合った分だけの一日の食事
でも、この家の中で食べては駄目
納屋の隣の、小さな空き屋なら大丈夫
食事を終えたら、お風呂を借りる
使っていいのは火木土
曜日を間違えては、駄目
明日の食事を取り上げられてしまう
お風呂が終われば、小母さんに挨拶を済ませて空き屋に戻る
小さなベッドと、小さな机
隙間があちこち開いた暗い空き家は、雨風を簡単に入れてしまう
冬場は凄く辛いけど、夏場は凄く涼しいから割と気に入ってる
何よりその天窓から見える夜空は、凄く綺麗だから
おとうさん、おかあさん
寝る前にいつもすることは父と母へのお祈り
どうか、無事でいますように
どうか、元気でいますように
どうか、
わたしを、むかえにきてくれますように
私の名前、ちゃんと憶えていてくれるかな
私の顔、ちゃんと憶えていてくれるかな
私のこと、
わすれないで、いてくれてる?
そうして小さなベッドで眠りに付く
いつ迎えに来てもいいように
二人の名前を、何度も胸の中で唱えて