My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「そう怒ってやるな神田! 雪だって精一杯やったんだ!」
「そ、そうですっ! オレが捕まっちゃったから、先輩達も捕まる羽目になっちゃっただけです…!」
「雪は怪我人なんだぜ、乱暴するなよ!」
慌てて庇うように捲し立てるジジ達の、その最後のバズの言葉に引っ掛かる。
怪我?
ざっと目の前にある体を頭から爪先まで見る。
すると足首に固く巻かれているテーピングが見えた。
「足。なんだそれ」
「あ、いや…ちょっと捻っちゃったというか…単なる捻挫です…」
「また何か無茶やらかしたのか」
「いいえそんなことは…っ」
なんだその取って付けたような丁寧語。
「そ、それよりっ…心配、して来てくれたの?」
未だに硝子にへばり付けられたままの顔が、不格好にへにゃりと笑う。
「ありがとう」
硝子に不格好に押し付けられた顔は、決して綺麗なもんじゃない。
なのにその偽りない言葉と緩んだ顔に、眉間の力が抜けるのを自分でも感じた。
…チッ。
「最初からそうしてろ。隠れたりすんな」
後ろめたさがあったのかなんなのか知らねぇが、最初っからそうしてりゃ俺も苛立ったりしねぇよ。
…多分。
掴んでいた襟首を離せば、ぺたんと目の前に座り込む雪の体。
もう一度その体を見直す。
どうやら怪我してんのは、足首だけらしい。
…余計な心配は必要なさそうか。