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My important place【D.Gray-man】

第41章 枷



「お前らだけなのかよ、捕まったのは」

「あれ?…そういえば雪さんの姿がないですね」


 どう見たって一人足りない状況に突っ込めば、気付いたモヤシも不思議そうに辺りを見渡す。
 何処だあいつは。


「雪?」

「いや、あいつも一緒に捕まったぞ」

「あれ、さっきまで其処にいたのに…雪先ぱーいっ?」


 不思議そうに、怪盗Gの衣装を着た連中で溢れ返る独房内を見渡すジジ達。
 捕まったのに姿が見えねぇってどういうことだ。
 さっきまでいたってんなら──……あいつ…。


「おい」


 斜め上を飛んでいた、俺専用の通信ゴーレムに目を向ける。
 一声かければキョロキョロと一つだけある目玉をさ迷わせながら、そいつはするりと足元の柵の間から独房内に入り込んだ。


「ガァッ」

「あ、ティム!?」


 驚き上がるモヤシの声。
 見れば俺のゴーレムの後を追うように、硝子に張り付いていたティムが柵の中に──…オイつっかえてんぞ。
 初めて見た頃に比べりゃ、太っ……でかくなったからなあいつ。
 ゴーレムなのにモヤシの真似して、色々暴食してるからじゃねぇのか。
 体が柵の間を通り抜け切れてねぇぞ。


「ガァアッ!」

「あ。」


 それが悔しかったのか、踏ん張るように鳴くとずりずりと無理矢理柵を通り抜ける。丸い球体を凹ませてまで。
 そしてまるで張り合うかのように、俺のゴーレムの後を忙しなく追った。

 モヤシのゴーレムだからかわかんねぇが、ティムと俺のゴーレムは睨み利かせて無言の喧嘩をしてることが多い。
 だから張り合ってんのか。


『ピーピー!』

「ガァッ!」


 やがて独房内をあちこち飛び回っていた黒と金色の球体が、目的のものを見つけて同時に甲高く鳴いた。
 ぴょんぴょんと跳ねる俺のゴーレムに、横からでかい球体を押し付けて割り込むティム。
 そいつらのすぐ真下にあったのは、座り込んでいる見慣れた後ろ姿。
 まるで隠れるように、独房の隅で小さく縮まって。


 ……おいコラ。

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