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My important place【D.Gray-man】

第41章 枷


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「あの、」

「…んだよ」

「雪さんの心配してたんでしょ? 無事だってわかったんですから、もう神田が同行する意味はないと思うんですけど…」


 パリへと向かう方舟ゲート内。
 先を歩いていた白髪頭が振り返って、まだ不服そうな顔を向けてくる。
 その言葉につい眉間の皺が寄った。

 煩い野郎だな。
 いくら生存確認が取れたからって、無傷だとは限らねぇだろ。
 独房にぶち込まれてんだ、何かしら事件に巻き込まれた可能性はある。

 あいつは任務中は怪我を負っても黙ってる奴なんだよ。
 任務後だって下手したら隠し続ける奴だ。
 そうやって、簡単に誰にでも甘えられない性格なのは知ってる。
 だから傍に行くんだよ。邪魔すんな。


「コムイから任務同行の許可は貰ったんだ。何をどう言おうが今更戻る気はない」


 うだこだ言わずにすっ込んでろ。
 そう意味を込めて睨み返せば、伝わったのかモヤシの顔が険しさを増した。

 元々甘いことばかり言うこいつのことは嫌いだったが、雪が関わると更に嫌悪感は増す。
 その理由はわかってる。
 誰に対しても同じ態度で接していた雪が、モヤシを相手にする時は何故か多少違って見えた。

 …前々から思っていたこと。
 だから気に喰わない。


「本当、顔を合わせれば喧嘩ばかり…貴方達本日もう5度目ですよ」

「ってリンク数えてんですか」


 モヤシの隣で姿勢よく歩く監査官の棘々しい言葉は、一切止める気配なんてない。
 なのに一端に文句だけは垂れてくる。
 こいつもモヤシ同様、気に喰わない奴だ。

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