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My important place【D.Gray-man】

第41章 枷



「神田くんからそんな要望入れてくるのは初めてだしね。君の我儘を聞いてあげるよ」


 にこにこと作ったようなコムイの笑みが、不意に深くなる。
 …あれはロクなこと考えていない時の笑みだ。


「なんだかローマ任務の時と真逆だね~。あの時は雪くんが神田くんの心配してたっけ」

「……」


 別に心配なんかしていない。
 いつもならそう跳ね返していた言葉が、今は出てこない。

 …コムイの言う通り、あいつのことが心配なのは確かだった。
 だからモヤシと一緒でも任務の同行を望んだ。

 へらっへらと嫌な笑みを作ってくるコムイにからかわれんのは心底願い下げだが…それでも雪の安否確認ができるなら……すげぇムカつくが耐えてやる。
 耐えてやるから、その気持ち悪い笑顔いい加減こっちに向けてくんのやめろ。
 叩っ斬るぞ。


「わー顔怖いよー神田くん」


 テメェわざとだろ。
 わかっててそうやって煽ってんだろ本当に斬られてぇのか。


「室長…あまりそれ以上煽るのは止められては…」

「そうですよ、コムイさん。神田はド短気なんですから」

「んだとコラ…!」

「なんですか」

「アレンも煽るんじゃないっ」


 睨み合う俺とモヤシの間に、マリの大きな体が割り込んでくる。

 チッ、やっぱりこいつと同任務なんていけ好かねぇ。
 雪のことがなけりゃ願い下げだ。


「だって本当のことでしょ? 神田くん、雪くんが心配なんでしょ」


 それでも未だ、にこにこと笑って問いかけてくるコムイに苛々したまま睨み付ける。


「だったら悪いかよ」


 ああクソ、苛々する。
 此処にいる連中は俺の神経を逆撫でするようなことしかしない。

 いい加減この会話を終わらせたくて、吐き捨てるように言えば。


「…そっか」


 その苛々が削がれる程に、意表を突くように。コムイはふわりと優しく微笑んだ。

 思わず続けようとした悪態が止まる。
 …んだよそのツラ。

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