My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
あいつと別々の任務に当てられるようになったからって、それを気にしたことはなかった。
遊びじゃねぇんだ。
理由があって組まされるならわかるが、単なる馴れ合いで組むなんて、ガキの通う学校じゃあるまいし。
そんな甘い思考の奴となんか、組みたくもない。
今だってそう思える。
俺の中の考え方は変わってない。
ただ変わったのは、あいつに対する思い。
任務で別々になったことは気にしない。
ただいつまでも帰ってこないあいつを待っていると、もやもやとした暗い思いが渦巻く。
不安。
また傷でも隠して我慢してんじゃねぇのか。
またAKUMA相手に一人で突っ込んでんじゃねぇのか。
また民間人を庇って大怪我してんじゃねぇのか。
当たり前に任務を組んでいた時には見ていた姿。
その時はなんとも思っていなかったのに、俺の見えない所で危険を冒しているかもしれないあいつを思うと、もやつく思いは消えない。
長期任務じゃなく、ただの調査任務でここまで長引いたことなんてあったかどうか。
そんなことを考えながら、俺の手の届かない所にいるあいつに、微かに感じる"焦り"に似たもの。
…ふと思い出す。
ローマの任務中にコムイから聞いた、阿呆な"占い"の伝言。
俺の死を予感してあいつが心配してると、コムイから伝えられた。
あの時は阿呆な情報に振り回されんなと、呆れただけだったが……あいつもこんな気持ちだったのかもしれない。
絶対だと言い切れないからこその焦り。
拭えない不安。
だから単なる占いでも、俺の安否を気にしていたんだろう。
「……」
もし今ここで、あいつと同じようにそんな不安要素のあることを耳にしたら…
「雪さん達、大丈夫かな」
正に俺の心を埋め尽くしていた名が耳に飛び込んできて、思わず固まった。