My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
国際警察程の人がいるなら、ルパンも捕まえられるかもしれない。
そう思うと居ても立ってもいられなくなって、硝子に張り付いていた。
「あの…っいくらでも協力します! だから…私も国宝とは別に盗まれたものがあって、それを取り返したいんですっ」
ルパンが捕まれば、数珠も返ってくる。
必死に目の前の濃い顔に頼み込めば、隣に立っていたガルマー警部がずいっと顔を寄せてきた。
「そんなこと言って、此処から逃げ出す気だろッ自分が怪盗Gの容疑者の一人だってことを忘れるな!」
「っ違います!」
顔怖いから!
そんなに威嚇しないで下さい!
「私達は黒の教団だって言ってるじゃないですか、怪盗Gを追ってて…ッ」
「はんっ! ならなんで証明できるものがないんだ。ええ?」
「っ…それは…」
くそぅ、やっぱり身分証大事…!
今度ユウの団服からこっそりローズクロスのコピー取ってやる…ッ!
「まぁまぁ。とにかく彼女と話をさせてくれ」
そこに軽く手を挙げて間に入り込んできたのは、東洋人の国際警察の人。
確か…銭形警部、だっけ。
名前。
この人なら私の話を聞いてくれるかな。
「しかし何を盗まれたかは知らんが…国宝なら盗まれてはおらんぞ。しかとパリ警察が取り返した」
「…え?」
だけど立て続けにその警部が放った言葉は、耳を疑うものだった。
あの国宝の王冠、盗まれてなかったの?
警察の密集していない裏手の公園に下りたのに…其処からルパンは逃げ出さなかったってこと?
「ただしルパンにはまんまと逃げられてしまった。またいつ国宝を盗みに来るとは限らん。いや…あいつはまたやって来る! 必ず!」
私にはわかる!と豪語する銭形警部は、ルパンのことをよく知っているのか。
でもまさか、ルパンがお宝を盗み損ねるなんて。
ちょっと…というか凄く意外。
"狙った獲物は逃さない"って豪語するまでなのに。
あんなに回りくどく、怪盗Gにお説教までして盗み出したのになぁ…。
……何かあったのかな。