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My important place【D.Gray-man】

第40章 パリの怪盗



「"ルパンの再来"なんて言われちゃいるが、あいつァとんだド素人だ。変装もド下手、盗みも雑、獲物の選別だってなっちゃいねぇ」


 溜息混じりに言うその顔は、呆れながらも嫌悪感が少しばかり入り混じっていた。
 あのアルセーヌ・ルパンの子孫なら、そんなド素人の怪盗に一族の名を掲げられるのは嫌だったのかも。


「昨夜最初に怪盗Gに扮していた人物。そいつの中身はお前さん達の仲間だぜ」

「え…」

「なっ…嘘をつくな! ゴズは犯罪に加担するような奴じゃねぇ!」

「まーまー、落ち着けよ。まだ話は途中だっての」


 ガタンと机に体をぶつけて身を乗り出しながら激しく抗議するバズに、体を反らしつつ両手を軽く挙げる。
 そんなルパンの言葉に私も驚きが隠せないでいた。

 あの大柄な怪盗Gの中身がゴズ?
 確かに聞いたことのある声だとは思ったけど…でもなんで。
 バズの言う通り、ゴズはファインダーとして働くことに真っ直ぐ誇りを持っている。
 そんなゴズが悪に手を染めるなんてこと、するはずがない。


「何か理由があったんだろーよ。弱みを握られたか、独断で怪盗Gを捕まえる勝機でも見つけたか。理由は幾つだって作れる」


 あのゴズが独断で動くことは考え難い…となると、脅されたりしたのかな…。


「でもちぃっとばかり腑に落ちねぇこともあってよ。一度の盗みであの怪盗Gって奴ぁ、何人も素人さんをとっかえひっかえ使ってる」

「今頃パリの独房にゃ、大量の怪盗Gで溢れ返ってるはずだぜ」


 ルパンと次元。
 二人の話は、怪盗G同様なんとも"謎"なものだった。

 私達より早くに怪盗Gに目をつけて、その調査はしていたらしい。
 そんな頭の切れる大泥棒曰く、怪盗Gは毎回複数犯で一つの盗みをしているのに、盗みの癖や下手さは一貫して同じだとか。


「──つまりだ。体は別モンなのに中身は共通。毎回怪盗Gとして犯行を起こしてる奴らは何かしら、コントロールされてるんじゃねぇかってこと」

「…催眠みたいなもの?」

「その可能性もあらぁな」

「……」


 それならゴズが怪盗Gに加担してしまったのも納得がいく。
 そしてそれが今回の"怪奇"に繋がるんだとしたら…


「イノセンスの可能性あり、か」


 呟くジジさんの言葉通り、その可能性は高いかもしれない。

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