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My important place【D.Gray-man】

第40章 パリの怪盗



「どうやら撒いたみてぇかな」

「はぁ…」


 助かった…。

 警察の方々に追いかけ回されてなんとか屋敷の敷地を抜け出し、離れた郊外までやって来た。
 結局、この謎の男性と。
 とりあえず安堵の溜息をつきながら、煉瓦の建物に背中を預ける。


「にしても体力あんのね、お嬢ちゃん。息一つ切れてねぇ」

「…一応、鍛えているもので」


 主に暴君さん相手に。


「それよりその"お嬢ちゃん"呼びやめてってば。私には雪って名前があります」

「雪、ねぇ…アジア系だとは思ってたけど。何処の出?」

「…日本」

「へぇ、オレ馴染みの国じゃねぇの。運命感じちゃう」

「……」


 いちいち面倒臭い絡み方する人だなぁこの人…。


「そういう貴方は日本人には見えないけど」


 なんだって日本に興味なんて示すのか。
 ジト目で返せば、にんまりと満面の笑みを向けられた。


「知りたい?」

「……」


 別に、と言いたいところだけど。この人がゴズの行方に繋がっている可能性もある。
 そう思うと否定できなかった。


「じゃーあさ、オレ様に協力してよ。雪」

「協力?」

「そ。どうやら目的は一緒みてぇだし」

「目的って…」

「怪盗G」


 その名を口にした時だけ、彼の口調が鋭さを増した気がした。


「そいつの正体を暴きたいんだろ?」


 それは…確かにそうだけど。
 でもこんな得体の知れない人と簡単には手を組めない。


「だからオレと一緒にどう?」


 にっこり笑って両手を握られる。
 いちいち行動が女性に手馴れてるというか、いやらしい。


「遠慮します」

「あらー…つれない」


 思わず反射的に拒否すれば、まるで残念そうに見えない顔で呟かれた。
 胡散臭いなぁ。

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