My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「…あれ?」
唖然としたままでいると、その"気配"が消えていたことに気付いた。
目線を下げれば、やっぱり。木の下にいたあの二人組が忽然と消えている。
やば、つい意識が逸れてた…!
「ファインダー失格だな…全く!」
自分を詰りながら、慌てて木の下に飛び下りる。
残っていると思った足跡は、来たものはあるのに去ったものは見当たらない。
どういうこと?
「…ただの人間じゃないのかも」
もしかしたら、怪盗Gと関係ある者なのか。
更にもしかしたら、イノセンスと関係ある者なのかもしれない。
とにかくジジさん達と連絡を取ろう。
「ジジさん、こちら雪──」
『やっと繋がった! おいコラ雪! 勝手に電源切るんじゃねぇよ!』
「ご、ごめんなさい」
通信ゴーレムの電源を入れた途端、罵声のように届くジジさんの言葉に思わず身を竦める。
ごめんなさい。
でも声は発せられない状況だったんです。
「それより、怪盗Gを見ました? あれ…」
『ああ。だがその前に雪の所にゴズは行ってねぇか?』
「ゴズ? いえ、来てませんけど…」
なんで?
『あいつ、怪盗Gが現れた途端ぱったり連絡取れなくなってよ。その辺りにいないか捜してくれ』
「え? ゴズが?」
ゴズも私と同じに、声が発せられない状況にでもなったのかな。
「わかりました。では後に屋敷外で合流を」
『ああ。ゴーレムは切るなよ』
「了解」
さっきの二人組のことも怪盗Gの謎も気になるけど、とりあえず先にゴズを見つけて合流しよう。
木から飛び下りた際に脱げたマントのフードを被り直して、辺りを伺う。
人の気配は感じられなかった。