My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「では失礼♪」
「させるかぁ! A班始動だ!」
逃げようとする怪盗Gに、鬼のような形相でガルマー警部が耳のイヤホンに指示を出す。
何回も取り逃がしてるんだもんね、そんな顔になるのも無理はない。
でも子供が見たら泣きますよ、そんな怖い顔。
「はっはっは! 何をしても無駄む──ぶっ!」
「確保ォ!!」
あ。
「あららら?」
「なんだありゃ。あっさり捕まったぞ、オイ」
四方八方逃げ道を塞いで、頭上から網で覆う一手。
極々シンプルな作戦。
なのにそれは簡単に、高笑いする怪盗Gの身柄を拘束してしまった。
謎の二人組の言う通り、それはあっさりと。
「お前な…情けないとか思わないか? こんなコスプレして今時怪盗とか」
「やあ警部、ご苦労様です」
「あのな? 話聞いてるか?」
網で拘束されて地面に転がる怪盗Gを見下ろすガルマー警部は、呆れ顔。
まぁそうだよね…あんなあっさり捕えられちゃ。
「親泣くぞ、お前」
「くくくく…ワタシを捕まえるなんて無理ですよ」
「あーハイハイ。連れてけ」
「はっ」
けれど網に拘束されて警察に引き摺られようとも、怪盗Gは謎の笑い声を漏らし続けていた。
「ワタシは捕まらない」
…や、現に捕まってんじゃん。
なんであんな余裕なんだろ…まさか薬やってハイになってるとか?そういう意味での愉快犯?
というか、なんだか少し違和感が残る。
あの怪盗Gの声…何処かで聞いたことあるような…。
気の所為かな…。