My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
…これはユウに伝えるべきなのか。
ノアの兆候は現れたけど、でも消えた。
消えたけど、でもあの痛みは夢なんかじゃない。
全てに答えが出ない不確かなもの。
ノア化していたなら、その姿を見せて認めてもらうことができるけど。
こんな自分でもよくわからない状態のまま、話だけして信じてもらえるのか。
どうすればいい。
「雪」
思考を巡らせ考え込んでいると、また名前を呼ばれた。
あ、また意識飛ばすなって怒られるかな。
「ごめんっ」
慌てて目線を向けて謝れば──…あ。
あれは来いって呼んでる目だ。
「……ん」
おずおずと、ベッドの上で傍に寄る。
すると伸びた手は私の背中に回って引き寄せられた。
移動して乗せられたのはユウの膝の上。
強く抱きしめるでもない。
弱く抱きしめるでもない。
微妙な力加減で拘束される。
…えっと?
「……」
私を抱きしめたまま、ユウはそれ以上特に何をするでも何を言うでもなく。肩に顎を乗せたまま動かなかった。
なんだろう。
いつもの抱擁とは少し違う気がするけど…
「ユウ?…どうしたの」
「……いや」
その沈黙が気になって問いかければ、返されたのはそんな一言だけ。
…ああ、多分これ以上は何も応えてくれないだろうな。
なんとなくそれがわかったから、これ以上問うのは止めた。
「……」
でも間にできた沈黙は、少しそわそわする。
いつもの居心地の良い空気じゃなかったから。
……こんな状態じゃ話せない。
私が変な空気を出しちゃったのが、悪いんだろうけど…。
どうしよう。