My important place【D.Gray-man】
第2章 空白の居場所
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「またAKUMA討伐ですか…」
「そーなんだよ~。最近、出現報告多くてさぁ。神田くんが一番、迅速に片付けてくれるからね」
「でもこれだけの討伐にエクソシストとファインダー二名だけって。少なくありませんか」
「そこはホラ、うち絶賛人手不足中だから。空気読んで読んで」
神田とのAKUMA討伐任務を終えた数日後。
再び司令室に呼ばれたかと思えば、またもや似た任務をコムイ室長に押し付けられた。
討伐となれば相手にするAKUMAは一体だけじゃ済まない。
なのに私と神田だけで成立してしまうのは、神田の持つ実力のお陰なんだろう。
あと本当に今此処は人手不足だから。
数ヶ月前に教団を直接襲った一体のノアと大量のAKUMA。
それによって教団内の人間は過半数が死に至った。
エクソシストも科学班も警護班も私達探索班も、何処も人手が足りてない状態。
そんなこと言われれば何も言い返せないよね…確かに。
「それなら俺一人で充分だ。こいつは要らねぇだろ」
内心納得していると、隣から低い声が届く。
こいつ、と言う黒く鋭い目は真っ直ぐ私に向けられていた。
癖一つないサラサラの黒い長髪を頭の高い位置で一つに結んだ顔は、一瞬女性と見間違えそうな程の美形。
長い睫毛に高い鼻、形の良い唇に切れ長の瞳。
無駄なパーツなんてないと思わせるその顔立ちは、ずっと見てるとなんだか嫌気が差してくる。
主に世の中の不平等さを感じるから。
一人の人間に色々与え過ぎですって神様。
そんなこの人こそ私のバディなんてラビに呼ばれてるエクソシスト。
名は神田(かんだ) ユウ。
その威圧ある目止めてくれないかな、怖いから。
「じゃあ神田が任務先での聴取や本部連絡や任務後の報告書作成、全部してくれるんですか。ありがとうございます、助かります」
深々と頭を下げれば途端に神田の口は閉じた。
面倒臭いって思ったでしょ、今。
何度も組まされてきたからなんとなくわかる。
「そうそう。AKUMA討伐は雪くんと一緒でこそ速いんだから。しっかり任務遂行、頼んだよ」
にっこり笑って言う室長に神田の眉間に皺が寄る。
不服だけど仕方ないって顔。
そうして肩の傷が癒えないうちに、私は次の任務に赴いた。