第4章 EMPTY
「でも新鮮。凹んでる雅紀珍しいもんね~。なんかカワイイ♪」
「ちょっと。カワイイって何?俺、けっこー真面目よ?真剣に悩んでんだけどっ」
「うん、わかるけど。でも、みんなの前じゃできないんでしょ?こういう顔」
「…だって」
心配かけちゃうもん。
いっつも『うるさい』って言われてるから、たまに黙ってると逆に『静かだね。どうかした?』とか、『具合悪い?』とか。みんな優しいんだよね。だから、ちょっとくらい調子悪くても俺、みんなの前じゃ元気でいるんだよ。実際、元気になる。楽しいし。
でも俺だって、元気ない時もあるよ。
今日みたいにさ、みんなとの差っていうか、距離みたいなの感じちゃうと、なんか…。
「まーさき」
顔を上げると、杏奈が両手を広げてる。天使みたいな微笑で。
「…杏奈…っ」
吸い込まれるように、俺は彼女に身を預けた。俺よりちっちゃいのに、なんだろ。すげー安心感。髪の毛を梳くように撫ぜる指とか、めちゃくちゃ優しい…。
あ、ヤバ。なんか俺、泣きそうかも…。
「たまにはいいんじゃない?ガッツリ落ち込んだって。走り続ける相葉ちゃんにも、お休みは必要だよ」
「うん…。ガス欠かな」
「ならチャージすればいいだけじゃん。ね?」
「そう、だよね…」
「うん、うんっ」
「…じゃ、杏奈は俺の専用スタンドだ」
「リッター高いよ~?」
「えぇっ?ちょっ、恋人割引きは?特別サービスとかはっ?ないの??」
「セルフでお願いしまぁす」
「ケチ!…あ、でもいいや。そうします♪」
膝立ちでソファーの杏奈に抱きついたら、ちょうどおっぱいが目の前だったんだよねー♪頬ずりしつつ、その感触を手のひらでもしっかりチェック!
「ひゃぁっ!こらぁ、どこ触ってんのっ」
「だってセルフでしょ?セルフセルフ♪」
「やっ!もうっ!!そういう意味じゃないっ」
「もう遅いですー。スタンド入りしちゃいましたから、俺の愛車♪」
「こらぁ~~~!」