第2章 あれ?
「マツジュンのソロも凄かったね~。逆さまになってる時なんて、キャーッ!って感じ」
「カッコいいの『キャー』、じゃないんだ?」
「どっちかって言えば“危ない!!”の『キャー』。今回のセットもスリルありそうだったね」
「うん。マツジュン考案。俺は楽しーけど、翔ちゃんは毎回泣いてる」
「そーなんだぁ。でもホント凄いよね、嵐って。自作自演度高いっていうか。みんな多才で、アイドルって感じしないよ」
…あれ?
「TOKIOみたいに演奏までしたら完璧だね」
「そだね…」
杏奈の声を聞きながら、今日のコンサートを振り返る。
リーダー→振り付け
ニノ→作詞作曲
翔ちゃん→作詞、進行
マツジュン→構成、隊長
……あれれ?
「でね、その振り付け見て、隣の子がね…」
「…ん…」
気づいちゃった。
俺、コンサートに貢献してなくない…?
「もぅ気になって気になって…。雅紀?聞いてる?――キャッ!」
ソファーから飛び降りて、杏奈の正面から肩を掴んだ。なんとなく感じてた不安。
「ねえっ、俺の…俺の、存在価値って、なにっ!?」
「へ?ど、どしたの、急に」
「ね、教えてよ!嵐での俺の存在価値!!」
ちゃんと考えたらハッキリしすぎて怖い。
俺、みんなスゲーなぁって思ってた。実は、結構前から。
嵐はフツーっぽい五人ってのも魅力みたいだけど、四人ともアイドル顔負け(?)の才能がある。
なのに俺って…
俺は、そんな才能とか…全然ないんだよ…