第1章 ただいま
軽く食事して、ぼんやりテレビ見ながらソファでまったり。杏奈を俺の足の間に座らせて、その腰に腕を回す。これ、最近のお気に入りスタイル。“俺の”って感じがして、チョー幸せなんだよね♪
「そう言えば、今回もリーダーの振り付けた曲あったね。中盤くらいでさ」
「うんうん。ニノのソロがあってー、そのちょいあとかな。やっぱキレがいいよねー」
「うん。リーダーっぽいけど、でも…」
普段ののんびりからは想像できないよね、と二人で笑う。
「ニノのソロ曲って、また自作?」
「そうだよー。作詞作曲BY二宮和也。すごいよね」
「そう…だね。才能は、認める」
「フフフ。杏奈、何気にニノの曲好きだよね~」
「…曲だけねっ?」
「はいはい」
何でか杏奈はニノを毛嫌いしてるんだよね。直接会ったことはないんだけど。…ちょっと似てるとこあるからかな?
「翔ちゃんの方が凄いしね!今日のラップもすっごい良かった!ジーンときたよ」
「伝えときます。…ところで杏奈さぁ、ラップ、全部聞き取れてんの?」
「え?うん。…え?なんで??」
実は俺、結構あやうい…。笑って誤魔化したけど、素で呆れられた。そりゃそうだ。
「雅紀も滑舌の練習したら?マツジュンみたいに」
「マツジュン?…あー、あったね。夏虹ね。…て!あれ、役じゃん」
「あ、そっか。実際は滑舌いいもんね」
「え~、俺、そんなダメ?」
「う~ん…。なんて言うか、独特だよね」
「いやいやいや、そんなステキな笑顔で言われても。逆に。ねえ?」
ていうか、笑えないって。つまりダメってことでしょ?何か、こういうサクッとしたとこ、ニノと似てるんだよね。なんとなく、だけど。