第41章 StaY WorlD
キョウヤの力のこもった声は
教会の中を鋭く走り、
遠くでとても儚く響いて消えていった。
琴乃は小さな掠れた声で言葉を紡いだ。
『やっぱり・・・
そう言うと思っていたんだ・・・
キョウヤくんとマヤちゃん、
本当に仲良さそうだったから・・・
「俺が生き返らせる」って。
人を生き返らせるってそういうことだって
命を粗末にして・・・』
キョウヤは琴乃の言葉を聞き、
ハッとしたように座っている琴乃の方を見た。
琴乃は掠れていても力の入った声を出した。
『でも・・・!!
どんなに大切な人が
自分のせいでいなくなったとしても・・・!!
だからって自分の命は粗末にしちゃダメなの・・・!!』
琴乃は泣きたいのを必死に押さえ、
言葉を続けた。
『私もお母さんを亡くしたんだ・・・
私のせいだ・・・!!
・・・私もこのFゲームで
お母さんを生き返らせるつもりだった。
でも、本当のことを知って、
私はお母さんに守られたから生きているんだって
わかった。
お母さんも私と同じで私が死んだら苦しいんだ。
だから、私を守ってくれた・・・!!
そうやって守られた命を
自分で無駄にしたくない・・・!!
その思いを無駄にしたくない・・・!!
だから私は自分を生きるんだ!!』
琴乃は力一杯に声を張り上げた。
「・・・それでも俺は・・・マヤを・・・」
『だから私の願いはあなたを救うことなの・・・
あなたを現実世界で目覚めさせることなの・・・』
「ど、どうして・・・!?お前、母親は・・・!?」
『お母さんにはもちろん会いたい。
でも、それと同じくらい、
今現実の世界にちゃんと存在する
キョウヤくんを救いたいと思ってるの。
お母さんの思いを無駄にしないように。
キョウヤくんの思いを無駄にしないように。
そして・・・
母の思いを受けた私の思いを無駄にしないために・・・!!
私はあなたを救うためにFゲームをする!!
・・・粗末になんてさせない・・・!!
これ以上・・・大切な繋がりを無くさないように・・・』
琴乃は溢れてきた涙を拭くことなく
祈るように手を組み、目を瞑った。