第37章 SickrooM WorlD
『あの・・・妹さんは・・・?』
琴乃は恐る恐る聞いた。
「・・・亡くなったわ」
エリは下を向き、悔しそうに唇を噛みしめる。
『・・・』
琴乃は手をギュッと握りしめた。
「兄のキョウヤくんは一命を取り留めた。
でも、彼が目を覚ましたのは
ほんの五分だけだった。」
『・・・え・・・?』
「彼は麻酔が切れてから
1時間後に目を覚ましたの。
それで、あたしに・・・
<「真矢(マヤ)は・・・?」>って聞いてきた。
あたしは・・・何も言えなかった。
彼は涙を流して、眠りについた。
それ以来、
彼は目を覚まさずに一年間を過ごしたの。」
エリは目を人差し指で撫で、涙を拭いた。
「・・・実はね。
あなたが最初の面会人なのよ」
『え・・・』
琴乃は口を開けた。
「彼らね、
この辺に住んでいた訳じゃないそうよ。
あと駅がもう五つか六つ、
そのくらいの所に住んでいたみたいなの。
それも妹さんと二人で・・・」
「だから、
ありがとうね。」
エリは笑顔で琴乃を見た。
「あたしが言うのは変だけど、
来てくれてうれしいわ!!
きっと彼もそう思っているわ。」
琴乃は涙を流した。