第6章 事後報告
「ありがとう。
萌ちゃん、ここに自分の名前書ける?」
と、ポケットに入れてあったノートとペンを出す。
「いいよ」
それを受け取り、名前を書き始める。
その様子を、興味深そうに見つめるLが居た。
「はい、出来たよ」
「ありがとう。
字、上手だね」
「まぁ、習字習ってるし」
「そうなんだ、何年くらい?」
「5年」
「あ、萌ちゃんっていくつ?」
他愛ない会話をして距離を縮めながら、段々と診察に入って行く。
「11歳、小学5年生。
お姉さんの名前と歳は?」
名前と歳…月くんの前じゃ、下手なことは言えない。
「どうしよっかな。
診察が終わったら、教えてあげる」
「でも、月は栞って呼んでたよ?」
月くんを、呼び捨て…?
「あ、よく聞いてるね。萌ちゃん」
「ふーん、じゃあ合ってるんだ」
「うん」
まぁ、それでいっか。