第6章 事後報告
「それにしても、随分と急いで来たんだね。
手術着のまま、ですよ」
「そっちが急いで来てって言ったんでしょ?」
Lがなんて自己紹介したのか分からないから、名前は出さないように注意する。
Lの方も、注意してくれているみたい。
私も月くんに偽名使ってるからね。
「そうですか、それはありがとうございます」
手術着に、白衣をまとっただけの状態。
幸い、ここからの距離は近かったから来るまでにそこまで目立たなかった。
「こんにちは、萌ちゃん。
私と、少しお話しない?」
しゃがんで、目線を合わせて喋る。
少しの間、ジッと見つめて来るから目を逸らさずに見つめ返す。
「あ、無理だよ。
萌ちゃんはイケメンしか…」
松田さんが何か言っている途中で…。
「うん、いいよ。
お姉さん綺麗だね」
萌ちゃんが口を開いた。
「綺麗な人も良いんだ…」
ボソリ、と呟く松田さん。