第5章 本領発揮
ーin病院ー
病院へ着き、救急車から担架を下ろす。
流石は最先端と言うだけはある病院。
扱いが丁寧、それでいて速く正確。
…そういうところは、変わってない。
「付き添いの方は、こちらでお待ちください」
と、若い男の看護師に言われた。
そして、直ぐに治療が行われた。
ある程度の処置は済ませてあったし、傷もそこまで深くなかったからか時間はあまりかからなかった。
部屋の中へ通されると、頭に包帯を巻かれた女の子がベッドに横たわっていた。
「…あなたが治療したんですか?
あれは、救急隊員では教わらない治療法が使われているのがあった」
敬語とタメ口が入り混じった、若めな先生が問う。
「はい、そうですけど」
救急隊員に医者だと言ってしまった手前、下手に嘘はつけない。
名前を明かさなければ、問題無いよね。
「…そうですか」
「あの、そろそろ帰っても宜しいですか?
もうすぐその子の家族が見えると思うので」
鉢合わせになっては、本末転倒だから。
「あぁ、構わないですよ」