第1章 S
「ちょっとL?月くんは…」
反論しようとする模木さんの言葉を遮って、Sが口を開いた。
「それで?私には何をさせるの?」
完全に、人格がSでは無くなる。
この変化も、いつ見ても面白いです。
飽きません。
「月くんと同じ、東応大学に編入してください」
「「「は?」」」
文字の如く、皆さんの目が点になる。
私のコレに慣れっこであるワタリとSは除いてですが。
「勿論名前は偽名で」
「…分かった」
少し考えた末に、結論を出した。
「そう言うと思ってました」
ーーの中に居る、Sなら。
はい、とあるものを手渡す。
「カメラ内臓型のメガネか…」
「それとこちらもどうぞ、イヤホンです」
「うん」
「それから、彼の気も逸らしてくれると助かります」
「気も?」
「月くんには彼女が居ます。
けど、宜しくお願いしますね」
「…嫌」
極小さな声で呟いた。