第5章 本領発揮
「あなたは…?」
職業では無く、この子の家族または知り合いかと言うことだろう。
ここで嘘を言っても、どうせ後でバレる。
「医者です」
「分かりました、どうぞ」
救急隊員の許可を得て、同乗する。
「ワタリさんは “ 竜崎 ” のところへ戻ってください。
帰る時は一報入れますから」
外でLの名前を呼ぶ時は、竜崎と呼ぶようにしている。
「はい」
バタン、と戸が閉まる。
「とりあえず、応急処置します。
傷口を消毒しましょう、消毒液はありますか?」
「これなら…」
「充分です、お借りします。
病院まであと何分で着く予定ですか?」
「約10分前後です」
「分かりました。
消毒するので、出来るだけ頭を動かさないようにして貰えますか?」
「え?」
「脳震盪の疑いがある、と言った筈です」
「わ、分かりました」