第5章 本領発揮
『…分かりました。
では、写真で送ってください。
分かり次第、こちらから連絡します』
「ありがとう」
忙しいのに、ごめんね。
電話を切り、出来るだけ傷口が見えないように顔写真を撮ってLに送る。
「あの…」
心配そうに尋ねて来る。
「大丈夫です、今のは信頼出来る人ですから。
ご家族に連絡をしないと…」
そうこうしていると、救急車が到着した。
「こっちです!」
人混みの中でも通じるように、声を張る。
「どんな状態ですか?」
「階段から転落したものと思われます。
名前などは分かっていません。
頭部以外には、特に目立った外傷はありません。
転落してから発見するまで、恐らく時間がかかっています」
「おい、乗せるぞ」
その隊員は、もう1人の隊員と2言3言会話し担架に乗せる。
「慎重にお願いします、脳震盪を起こしている可能性があります。
それと…私も同行させてください」
今Lの元に戻る訳にないかない。
そして何より、1度でも診た患者は完治するまで診るのが私の中のルール。
それを破ることは、もう絶対にしないと決めた。