第5章 本領発揮
手首をとり、腕時計で脈拍を測る。
脈は弱めでゆっくり。
放っておくと、危険かもしれない。
「あの、あなたは…?」
発見者の女性が、堪らず口を挟む。
「医者です」
「そう…あの、この子は大丈夫なんですか?」
「今はなんとも言えません。
それより、どこの学校の生徒か分かりますか?」
身分を証明する物は何もなかった。
けれど、制服を着ているのがせめてもの救いかもしれない。
「ええと…この制服は確か…。
英集中学じゃなかったかしら?私立中学の…」
「英集ですね」
Lに調べて貰おう。
病院に着いてから身元を調べるよりも、遥かに早いだろう。
そう思い、Lに電話をかける。
月くんも居るのかもしれないけれど、今は人命の方が大切。
救急車は、到着するまで意外と時間がかかる。