第5章 本領発揮
ー雪sideー
どうやって時間を潰そうか、と辺りを見回していると…。
「きゃーっ‼︎」
耳をつん裂くような、女性の悲鳴が聞こえた。
何事だろう…?
「ワタリさん、少しここで待っていてください」
好奇心には逆らえず、悲鳴の聞こえた方へ走り出す。
「どうかしましたか?」
「お、女の子が倒れてて…」
女性の視線の先には…。
階段下で、頭から血を流して倒れている女の子が居た。
「大丈夫ですか?聞こえますか?」
呼びかけてみるも、返答は無い。
「雪、一体どうしました?」
「ワタリさん、すみませんが救急車を1台呼んでください」
「畏まりました」
現場を一瞥し、頷く。
「聞こえますか?分かりますか?」
再度問いかけてみるも、やはり返答は無い。
階段から落ちたのなら、下手に動かしてはまずい。
一体、いつから倒れていたんだろう…。
顔が蒼白くなってる、結構時間経ってるかも。