第4章 1つのポッキー
ツンデレタイプなのかな、栞って。
普段はクールでしっかりしてるのに、たまに無邪気に笑ったりする。
優しい一面もあって、凄く魅力的に思える。
そんな彼女と良い雰囲気だったのに、話しかけて来た人が居た。
まぁ、俺の友達なんだけど。
栞に握手を求めて来たから、なんかムッとしてそれを無意識の内に遮った。
席に着いても、なんだか落ち着かなかった。
隣に座っている彼女のことを、どうしても意識してしまうからだ。
他の女の子には無い、“ 何か ” に魅せられて。
「あ…」
「?どうかした?」
「教科書、忘れちゃったみたい…」
ちゃんと入れた筈なのにな、と落ち込む栞。
これはチャンスかもしれない。
「じゃあ、俺の使って良いよ」
「え、でも…」
案の定、遠慮する栞。
ここまでは計算済み。
1番重要なのは、このセリフ。
「んー、なら一緒に使う?」
一瞬考えたフリをして、提案する。
「うん」
ありがとう、と優しく微笑んでくれる。
彼女の微笑みには、癒し効果でもあるのだろうか。
なんだか心が躍っているようだ。