第4章 1つのポッキー
ー月side 朝ー
登校途中、俺の前を歩くのは少し気になっている相手。
いつも落ち着いてるけど、今日はなんだか楽しそうだ。
チラッ、と手元を見やるとその手に握られていたのはポッキーの袋だった。
これは、彼女と話すきっかけになるかもしれない。
「美味しそうだね、俺にも1本くれる?」
横に並び、そう尋ねる。
すると、人の良い彼女のことだから嫌な顔1つせず袋を差し出してくれた。
そこから1本取り、口へと運ぶ。
「ん、うま…」
久しぶりに食べると、なんとも言えない。
「でしょ?」
と、彼女が無邪気に笑った。
初めて見るその顔に、胸が高鳴った気がした。
「どうしたの?顔赤いよ?」
ジッ、と見つめられると恥ずかしくなり目を合わせてはいられなかった。
俺今、絶対顔赤いよ。
隣で美味しそうにポッキーを頬張る彼女を見てて、思うことがある。
2、3日で何が分かるんだとか思う人も居ると思うけど。