第3章 甘党×フルーツ党
お腹を空かせたLが真っ先に手を伸ばしたのは、マフィンだった。
かぶりつくLを、微笑ましそうに眺める雪。
仕事をしていない時のLは、スパルタでもなんでもない。
むしろ、ワガママになる。
「僕、コンビニに弁当買いに行って来ます」
「どうぞ」
「行ってらっしゃい」
そして雪は、Lのと同時に作っていたフレンチトーストを頬張る。
「ん、美味しい…」
口に広がる甘さに、目を細める。
一方のLは最後のマフィンを食べ終え、パイに手を伸ばしているところだった。
食べるの早いなぁ…。
男の人って、皆そうなのかな。
「只今戻りましたー」
「あ、おかえりなさい。松田さん」
「ただいま、雪ちゃん」
松田さんか帰って来るのと同時に、Lが最後のパイを口に入れたところだった。
そして、パイを咀嚼(ソシャク)しながら苺のフレンチトーストをジッと見つめている。
Lにこれ作るの、初めてだっけ?