第2章 二重人格者
「もう、なんなんですかっ。
いい加減説明してくださいよー」
事情を知らない捜査員の中で、1番先に声を上げたのはやはり松田さんだった。
「雪、もう1度Sと替わって」
「…反転剤を吸っても良いのなら」
「どうぞ」
懐から小さな箱を取り出し、そこからソレを1本出す。
そしてライターで火をつけ、吸う。
「ちょっと、ここは禁煙ですっ…」
反転剤をタバコと見間違え、声を荒げる日村さん。
「しっ…黙ってください」
これはタバコではありませんし、煙も出ません。
よって、火災報知器が鳴る心配もありません。
またも意識が失くなり、崩れ落ちるSの方を見ると…。
「大丈夫ですかっ?」
松田さんが触れようとしていた。
「松田ー!」
「え?」
急に声を荒げたLに、動きが止まる。
「松田さん、触れないで貰えますか?」
しかし、次の瞬間には元通りだ。
「でもで」
「松田、ここはLの言う通りにしろ」
「…はい」
夜神さんに言われて、渋々折れる松田さん。