第9章 外科の要
絡んで来る輩は無視する。
午後のオペを終え、購買で買った飲み物を日の当たるイスへ座って飲む。
「飲み物なんて、机で飲めば良いじゃないですか」
「そういうこと言うの?双葉くんって」
「冗談ですよ」
「1人の方が落ち着くの。
群れってどうも苦手なの」
「群れじゃなくて集団行動って言ってくださいよ」
「そう言う双葉くんは?ここでお昼なの?」
「はい、さっきまでオペがあって食べ損ねたんです」
「オペ…?外科なの?」
「あれ、言ってませんでしたっけ?
僕、こう見えても救命の看護師です」
「あ、そうなんだ」
「1度、救命で会ったの覚えてません?」
「え?」
会ったことあったかな。
「ほら、女の子が階段から落ちて脳震盪を起こして…」
「あっ」
思い出した。
あの時、ここでお待ちくださいって言った看護師だ。
「良かった、思い出して貰えたんですね」
「ええ」