第8章 復帰命令
「事故か故意かでは、出来た傷等に違いがあることはご存知ですよね?」
主に、夜神さんに向けて言う。
「あぁ、無論だ」
「詳しくは話せませんが、専門的な表現を砕いて説明しますと。
刺し傷ならナイフの向きや持ち方の違い、首を絞めるのでは締め方が違います」
詳しく話して、それが外へ漏れたら事故か他殺か特定しにくくなる。
「そう言われてみれば、確かにそうですね」
「つまりです、今回の娘さんにはそれらに似た痕跡がありました。
なので、我々はそう判断させていただきました」
「…そうか」
「歩いている時に突き落とされたのか、意識の無い時に突き落とされたのかは定かではありません」
その言葉を聞いて、ふっ…と意識が遠のくのが分かった。
あぁ…出るのか。
「前者の可能性は極めて少ない、と私は思いますけど」
「勝手に出て来るな、S」
「今回だけですから」
「どういうことだ?」