第1章 出会い
たまたま、部活帰り、公園で見かけた女の子。泣いているように見えたから、つい声をかけてしまった。
「君、どうしたの?」
『えっ・・・?』
振り向いた彼女。子供かと思っていたけれど、違った。同じくらいの年の子だ。
「泣いてた?」
『っ!』
驚いた彼女の目は赤かった。やはり、泣いていたのだろう。
「えっと・・・」
俺は、声をかけたはいいがどうしようか迷って辺りを見回す。と、自販機に気が付いた。
「ちょっと、待ってて」
『?』
俺は急いで自販機で缶のミルクティーを買うと彼女に差し出した。
「はい、コレ。飲んだら落ち着くべ」
『!あっ、ありがとう』
俺が笑うと彼女は受け取って礼を言ってくれた。彼女の隣に座る。彼女は缶を開けた。
「何かあったの?良かったら話してみ?」
『・・・・・』
「あ~、無理にとは・・・。ただ・・・さ」
『?』
「何も知らない人に話した方が楽なことってあるべ?」
彼女は俯いて缶を眺めている。
『私、逃げて来たの』
「えっ?何から?」
『何もかも、全部。都会の喧騒から』
「えっ?じゃあ、君、宮城(こっち)の人じゃないの?」
『うん、宮城(こっち)はおばあちゃん家」
「そっか・・・」
俺は大人しく彼女の話を聞くことにした。