第6章 episode4
「呼んだかーい?....雛寧ちゃん」
「....」
「諒夜、悪いが落ち着くまで雛寧と居てやってくれねぇか」
「パニクってんだ。うん、別に構わねぇよう。おいで、雛寧ちゃん」
消えたはずだった。
アイツのせいで汚れた体の傷も。
記憶も、感覚も、感触も、残像も。
それなのに、なんで思い出しちゃうの。
アイツのせいで、こんなに苦しい。
ツライ、居なくなりたい。
震えるこの体を、優しく包んでくれた諒夜くん。
「漣音、行ってきていいよ。俺が見といてやるから」
少しでも離れたらって、リストカットした。
薬も飲んだ、首吊りも飛び降りも、しようとした。
でも、怖くて弱い自分が出て出来なかった。