第6章 episode4
「大丈夫。大丈夫。」
「...アイツが....ここに...アイツが....ああっ...」
「アイツなんか居ない。いるのは、俺と楓希ちゃん達だけ。ほら、見てみ?」
顔を上げる。
みんなびっくりしたような顔をしている。
「ごめんな。不安になっちまったんだよな、でもそばに長くは居られねぇんだ」
落ち着いたつもりでも、体は震える。
激しく震えて、息も整わない。
「諒夜はいんのか?」
「うん、呼ぶ?」
割れた皿や落ちたものを拾う彼女。
奥へと急いで入っていく。
諒夜さんだけはなぜか心許せる人だ。