第6章 episode4
私がこの家に来たのは5歳の頃。
育児放棄、虐待、アザだらけの私は施設に引き取られ、数年過ごして長谷川家へ。
漣音くんのマネージャーの車に揺られながら、流れる景色を見つめる。
「夏希ちゃん、今日は早起きだな」
「そおよ~、私だってたまにはやるんですっ!」
過去を振り返るつもりはないけど、こうなったのもすべて過去のせいだ。
なんだか、思わずため息が出た。
「雛寧?」
「....」
少しでも、長く生きられればそれでいい。
苦しくても、幸せなら。
「何かあったら言えよ」
幸せ、なら...