第6章 episode4
「雛寧、今日は俺、家には戻って来れないから俺の知り合いの家に泊まってくれるか?」
「....うん...」
ソファーに膝を抱え、座る私は長谷川雛寧。
お兄ちゃんである同い年の漣音は、いつも私を気にかけてくれる。
仕事ざんまいで、なかなか帰って来られないおばさんとおじさん。
一人になることが多くなる私を休憩の間に電話したりしてくれる。
「大丈夫だ。何かされる心配はないし、彼女は優しい」
「....」
優しい、なんて見た目だけ。
一対一になれば、ひどい言葉で罵倒し、暴力を振るうんだ。
「雛寧、準備したら行くぞ」
「分かった」
心配してるのは、私のほうだ。