第30章 和解
「夏希ちゃんは言い出そうとしたみたいなんだ。けれど....」
「も、いいです...、いっぱいっぱいなんです....」
言い訳だろうと慰めだろうとなんだろうと。
今は何も聞きたくない。
受け入れるために、そっとしていてほしい。
「さあちゃん...」
「平気だよ、分かってたもん。だから、聞いたんだよ...」
真実なんて。事実なんて。
すべて重くて、ズッシリしていて。
何もかもを拒否してしまう。
「帰るね、」
大丈夫。
今度は逃げないよ。
決めたんだ。
どんな真実でも受け容れるんだって。