第30章 和解
言葉を発せずにいた。
今まで違和感を感じていた、少なからずお姉ちゃんには。
だからこそ知りたいと、つい先ほどまで思ってたはずなのに。
「....ッ」
心がギュッと締め付けられてるみたいに苦しいよ...
優しく頭を撫でてくれる龍太郎さんの手の温もりにさえ、感触さえ、思い出せない。
「ごめんね。」
「龍太郎さんは悪くないです、誰も....」
なんでお母さんは自殺なんかしたのだろ。
お父さんから逃れるためとはいえ、
逃げ方はきっと死よりも他に方法があったはずなのに。
失う事で、
気づくものはたくさんあったはずなのに。
よりによって、どうして死なんか選んだの?