第29章 颯希の生い立ち、そして真実。
まだ幼い颯希は、キャッキャと蒼汰と遊んでる。
無邪気さはいつまで続くだろう。
颯希の父親は葬式に顔は出したものの、その後行方をくらました。
「ぱぱぁ、お腹減ったあ」
「さつきもー!」
「ご飯作ろうね」
蒼汰は路地裏に放置されていたところを俺が見つけて拾った子だ。
誕生日も、出生も分からない。
ただ、彼は"蒼汰"であることと颯希より年上だということはハッキリしていた。
「わーい!!」
いつか明かさなければならない真実。
この子は、苦しむのだろうか。
この真実を知ってしまって────