第29章 颯希の生い立ち、そして真実。
龍太郎さんには何度も彼のことで相談したことがある。
お腹に赤ちゃんが居ることも知っている。
だからこその忠告。
でも、
『無理だよ。彼は私を開放してくれない』
『...大丈夫。僕が助けてあげるから』
でも迷惑はかけられない。
ましてや彼には子どもだって居たはずだ。
蒼汰くん、って言ったかな?
『子ども、あんな環境に住まわせるの?』
『い、いの?龍太郎さんには蒼汰くんが居るでしょ』
『子どもが傷つくより、家計が少し苦しいぐらいなんてことないさ』
なんで、優しいの....
明るくて優しい、彼の輝き。
私には眩しすぎる。
でも、私には彼しか頼れない。