第28章 特殊能力11
ー神代家、自宅
「父さん、本当に言うの?」
「...仕方ないだろう。さあちゃんは、ずっと苦しんでたんだから」
ズズズ、
とお茶をすする。
蒼汰は小さくため息を吐く。
「さっき璃玖斗に電話したんだ。ブチギレて"失せろ"って言われちゃったんだ」
「璃玖斗くんも、勘づいてるかもしれないね」
「きっと、嫌いなんだろうね。璃玖斗にとって僕はさあちゃんを傷つけた人、だもの」
それは自分がよく分かってる。
だけど、やっぱり。
「ダメだよ。ちゃんと言わないと、本当に傷つくのはさあちゃんと璃玖斗くんだ」
自分の言おうとしていたことを先読みされ、父さんは僕を黙らせる。