第27章 特殊能力10
言い訳なのかな。
私の言葉は、伝わらないのかな。
でもやっぱり、彼には私しか居ないんだ。
「オネーサンが、僕を助けるために盾になってくれた。僕は怖かった。もしオネーサンが死んじゃったらって思うと...」
力なく燐斗の表情は崩れる。
「でもオネーサンは違った。オネーサンは、僕を、知らない男の子として見たっ....」
それがどれだけ悲しかったか分かる??
彼のその問いかけには、何も言えなかった。
言う言葉がなかったんだ。
「....もういいんだ。こんな僕を、助けてくれる人は居ないもんね。いいね、オネーサンはオトモダチがいて」
「燐斗!!」
「オネーサン、ばいばい」
悲しげな表情で、燐斗はどこかへ消えてしまった。