第23章 特殊能力7
小さい頃の記憶がふと蘇った。
それは、蒼汰くんと居る時でもお母さん達と居る時でもなかった。
『颯希、君はこれからパパから離れて違うママとパパの家で暮らすんだ』
『どうして?パパはさつきのこと、大好きなのに』
『颯希を守るためだよ。離れても会えるよ、絶対に』
うっすらと浮かんだ涙が、流れ落ちた。
ギュッと抱きしめられ、そしたら自分も悲しくなって寂しくなって。
あの時、大声で泣いてしまった。
『ぱ、ぱ...っ』
『ごめん。パパが颯希を守りきれなくて...っ』
私のパパは、ずっと泣いてた。
そこにママは居なかったけれど。
どうしてか、そのパパは蒼汰くんのパパとよく似ていた。