第23章 特殊能力7
「大丈夫だ。俺らが颯希を守るから」
漣音さんは私の前に立ち、守るように彼女から私を隠した。
死ぬかもしれないこの状況で、落ち着いてなんか居られなかった。
だから、一歩も動けない。
足がガタガタ震えてる。
「その人を人質として捕獲します」
女の子は目にも止まらぬ早さで私の近くまで来た。
グッと掴まれた腕に痛みが走る。
「は、離して!!」
「離さない。人質だから」
彼女の目は、暗くて闇を帯びていた。
吸い込まれそうなぐらい深い。
ドスッ
そのとき、私はお腹を殴られた。
「...はぁ....うっ...」
ゆっくりと意識を手放した。