第16章 特殊能力1
「璃玖斗もね、そんなんだよ。いつも女の子に言い寄られて無理やり遊ばされて連れ回されて。帰って来たら制服ぐしゃぐしゃで、疲れきってたよ。」
家に帰って、話しかけたら「うるさい黙れ」
いつもは優しい璃玖斗がそう言い返すくらい、嫌気が差してたんだ。
「でもある日ね、璃玖斗は私に言ったの。姉ちゃんが家に居るから、早く帰りたいって思う。だから無理やり連れ回されても我慢出来るんだよって。だから瑠都くんは変じゃないよ。それは良いことだよ」
人気者には人気者なりに悩みはある。
それを誰も否定しちゃいけない。
平凡に暮らしたいかもしれない。
地味に暮らして、友達と暮らしたいかもしれない。
きっと、瑠都くんも同じだ。
「まあ、決定的に違うところはチャラさだね」
ハハハ、と笑い飛ばすと瑠都くんも笑う。
「ありがとう、さっちゃん」