第16章 特殊能力1
「分かりました。他にありますか」
「あ...、いや、他のメンバーに頼んでるからあとはいいや」
呆気ない返事に脱力したのか、漣音さんはするっと手を下へ降ろした。
「....あー出費が...」
そうボヤきながら家を出た。
なんとなーく、空を見上げた。
そう言えばこんなふうに、誰かのためにせっせと買い物なんかしたことなかったなあ。
璃玖斗はいつも寄り道してたし、お姉ちゃんは残業とか寄り道とかで居なかったし。
いつも、1人だったな...
両親がなぜ亡くなったのかも、お姉ちゃんはまだ私に教えてはくれない。
事故死だったのか、病死だったのか、それとも殺害されたのか。
事実を知らないのは、私だけじゃないけど。
親のことを何も知らない私にとっては、やっぱり寂しさというものがこみ上げてくるんだ。